学校長のページ

自尊感情の育成

 本校では、校訓、学校教育目標を受けて「自尊感情」の育成に取り組んでいます。自尊感情とは、自分自身をかけがえのない存在として認め、自分自身を欠点も含めて好きになる気持ちのことをいいます。ありのままの自分の姿をきちんと受け止められる人は、自分自身の力を信じているわけですから困難なことに出合ったとしても、それに立ち向かっていくことができます。たとえ失敗したとしても、「自分の力はこんなものじゃない。もっとできるはずだ。」ともう一度挑戦してみることでしょう。また、自分の欠点ときちんと向き合えている人は、それを何とか克服しようと努力することでしょう。自尊感情の高い人は、常に努力するがんばり屋さんです。そればかりか、自尊感情の高い人は、自分の「不完全さ」や「失敗」ときちんと向かい合えるわけですから、ほかの人の「不完全さ」や「失敗」をも認めることができます。つまり、自尊感情の高い人は人を許すことができる心のひろい、優しい人なのです。

本校では、自尊感情を池田寛著『学力と自己概念』を参考に次のようにとらえて研究を進めています。

「包み込まれ感覚」

 身近にいる人が温かく包み込んでくれるとか、自分を愛してくれているなど自分の気持ちを分かってくれているという気持ちのこと

「社交性感覚」
友達が言ったことがよく分かる、自分が言ったことを友達がよく分かってくれるというように友達と心が通じ合っているという気持ちのこと

「勤勉性感覚」

 自分はこつこつ努力する人間だとか、やり始めたことは最後までやり通すのだという気持ちのこと

「自己受容感覚」
 今の自分が好きだとか、自分の性格が好きだという気持ちのこと

目指す子ども像
 (い)いのちを大切にする子

 (の)能力を伸ばす子

 (ち)違いを大切にし共に生きる子
本校では、人間として幅のある子どもを育みたいと考え、次の三つのことに重点を置いて指導しています。

1.基礎学力の向上

 (1)基礎・基本の定着
基礎学力の定着を目指して「楽しい授業」「わかる授業」の創造に取り組んでいます。いわゆる「読み」「書き」「計算」にとどまらず、思考力や「聴く」「話す」といったコミュニケーション能力を育成し、学習が深まるように取り組んでいます。また、学習意欲が高まるような授業を工夫し、断片的な知識を一方的に詰め込んだりすることのないよう、一人一人の個性を尊重した教育をめざしています。

基礎・基本の定着を図るために、教師の力量が高まるよう授業研究に取り組んでいます。今年度も、全員が授業公開をして研究を深めるよう計画しています。

(2)指導方法の工夫改善

一つの授業を一人の教師が進めるという従来型の授業に加え、一つの授業に複数の教師が関わって学習するなど指導方法の工夫改善に取り組んでいます。一人の教師が中心になって授業を進めるなか、もう一人の教師が加わって、理解が十分でない子ども達を指導したり、きめ細かい指導ができるように学級を少人数に分けて授業を実施したりしています。さらに、習熟度別にグループを作ったり、課題別にグループを作ったりして授業をおこなっています。

(3)児童の主体性を重視した授業

年間計画を立て、シラバスを配付することで、子ども達が見通しをもって学習に取り組めるようにしています。シラバスには、年間計画や評価の観点なども示されているので、それを参考にしながら授業に臨むことで、主体的にねらいを持って学習に取り組めると思います。

すべての子ども達に「確かな学力」をつけるために、体験的・問題解決的授業をおこなっています。今年度もそれぞれの学年が教室を飛び出して校外へ出かけ見学や体験活動をするよう計画しています。

21世紀を生きていく子ども達にはコンピュータは欠かせません。積極的にコンピュータを活用した授業を取り入れることにより、子ども達がコンピュータに慣れ親しむことができるように計画しています。

2.豊かな人間性の育成

(1)人権尊重の精神の育成

人はみな一人で生きているのではありません。共に生き、共に支え合う仲間として、お互いの違いを認め、共に高まりあう子どもを育成していくことを目指しています。ワークショップを初めとする様々な学習活動を通して、共に生きていくことの大切さを身につけられるよう教育内容の創造を図っています。

(2)道徳教育の充実
豊かな人間性の育成を目指して、道徳教育の充実を図っています。道徳教育では、21世紀を主体的に生きる人間として、よりよい生き方に向かって自分自身を高めていく子どもを育てていきたいと考えています。

道徳的実践活動の一環として、あいさつ運動に取り組んでいます。誰とでも明るくあいさつできる子ども達になってほしいと思っています。今年度も保護者の方全員があいさつ運動にしてくださることになり大変うれしく思っています。

(3)福祉教育の充実

本校では、これまでにも学校近辺に様々な福祉施設があることなどを利用して、福祉教育に取り組んでまいります。老人福祉施設を訪問し、高齢者の方との交流も計画しています。また、盲導犬をパートナーとしている方をお招きしてお話をうかがうなどの交流をしたり、広島市心身障害者センターに出向いて点字・手話・車椅子などを使っての体験学習をするなど計画しています。

3.まちぐるみによる教育の推進

(1)地域の教育力

地域には、様々な能力をお持ちの方が住んでおられます。総合的な学習では、全学年を通した地域教材として、二葉山をめぐる歴史やその自然環境などについて学習しています。そこでは、「東区緑のボランティアの会」などの協力を得て尾長山や二葉山の植物について学習しています。また、地域に伝わる「木遣り」を「日本民謡研究会広島支部」の方に教えていただいたり「昔の遊び」を地域の高齢者の方々に教えていただいたりするなど、それぞれの学年に応じた学習を計画しています。
 今年度より尾長小学校教育支援ボランティア組織を立ち上げ、子ども達の安全の確保、教育の充実にご支援を頂いています。

(2)学校教育情報の発信

 「学校だより」「学年通信」「インターネット」を通じて学校の情報を公開しています。本校の教育方針や沿革、学区の様子、学校行事などを紹介しています。昨年度の授業風景や学年行事の様子などが写真で紹介しています。これからも、学校の様子がよくわかるように順次更新していきます。

(3)家庭・地域との連携

 学校では、家庭訪問や参観懇談会などを通じてご家庭と意見を交流し、連携を図りながら教育を進めていきたいと考えています。この他にも「学校だより」や「学年通信」を通して毎月の行事予定や、学校のようすをお知らせしたり、手紙の形で随時「お知らせ」を出したりして家庭との連携を深めるよう努力しています。個別のお知らせについては、生活ノートを使って各家庭と担任とが直接情報を交換しながらより緊密に連携をとっています。11月1日から7日は、学校へ行こう週間として、地域の方にも授業公開を行っておりますので、ご希望がありましたらお知らせください。

子ども達の十分な教育は、学校だけで行うことはできません。学校、家庭、地域が一つになって育てていく必要があります。子ども達は、学校、家庭、地域の中で生活しています。毛利元就の「三つ矢の教え」のように、学校を中心とした「学校教育」、家庭を中心とした「家庭教育」、地域を中心とした「社会教育」の三つの力が合わさってこそ、初めて十分な教育を成し遂げることができるものと考えています。子ども達にとってよりよい教育を進めるためには、保護者の方々や地域の方々の力が必要です。それぞれが連携を取りながら、尾長小学校教育をより充実したものにし、21世紀を生き抜いていく主体性のある子ども達を育てていきたいと考えています。